十紀夫語録

打田十紀夫オフィシャル・ブログ

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TABサムピック物語
<第1回> 〜私のサムピック列伝〜

2004年の4月に発売になって以来、多くの方々に愛用していただいている“TABスペシャル”サムピック。皆さん、ご愛顧どうもありがとう〜。もちろん、私にとっても欠かせない道具のひとつですよ。でも私がこのサムピックに辿り着くまでには、ホント色んなものを試してきた長い歴史があるんです。数ある私のDVDでも、その時その時のマイブームのサムピックを付けているはずですよ。そこで、私の愛用サムピックの歴史とTABサムピック完成に至るまでの道のりやウラ話を4回にわたって、皆さんに打ち明けちゃいましょう。

私のサムピック列伝は、古くはドブロ社の透明サムピックに始まります。右写真の透明なサムピックがそれです。やや黄色く見えますが、これは20数年以上保管しているうちに黄ばんでしまったんです(笑)。ギターを始めた当時(1970年代後半)は、ステファン・グロスマンをはじめ、デイヴィッド・ブロムバーグ、ジョン・フェイら当時の有名フィンガーピッカーが、このサムピックを使っていて、ある種、定番のサムピックになっていたんですよ。製造中止になるという情報が入ったときは、いろんなお店を回って必死に買い溜めしましたっけ。でも、私と同じように探し回った方も多くいたようで、思ったほど確保できませんでしたが…。

その後、色々試して行くわけですが、次に出会ったのがアーニーボール社のサムピック。左の写真の白いサムピックがそれです。爪で弾く指側の音とサウンド的にバランスが良い!という結論に達して、何年かの間はずっとそれを愛用していました。ところが、あるとき急にメーカーがこのピックの材質を変えてしまったみたいで、どうもしっくりこなくなってきました。そんな時、登場して来たのが、フレッド・ケリー社の“スリックピック”というサムピックです。弦を弾くときの滑らかな感じが気に入って、今度はこれにハマッてしまいました。2000〜2001年頃、全国の島村楽器さん各店舗を回って開催した私のギター・セミナーで、当時の代理店だったモリダイラ楽器さんがサンプル(オレンジ色のミディアム・タイプ)を配っていたのを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。右の写真がそのスリックピック。

ただ、いずれのサムピックも、買ってそのまま使うのではなく、削って形や厚さを変えたり、滑り止めのためにゴムを内側に張るなど、より使い勝手がよくなる工夫をしたものです。上の写真でも、アーニーボールとフレッド・ケリー“スリックピック”の裏側に貼り付けた、滑り止めのための黒いゴムが少し見えるのが分かりますか?(私のHPの“Q&Aコーナー”のページでも、このアイディアを紹介してます。→こちら

そんなある日(2003年半ば頃)、(株)新上というプラスチック加工会社をやられているTAB生徒の曽我部さんから、本業とは全く関係ないのに(笑)「理想的なサムピックを作りませんか?」と、熱い相談を持ちかけられたのでした。「それは面白い!」と全面協力することになり、苦あり楽ありの開発プロジェクトがスタートしたのです。(…<第2回>へ続く)

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