十紀夫語録

打田十紀夫オフィシャル・ブログ

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Archive for 6月, 2010

Duck Bakerツアー無事終了!
次は、岡崎倫典さんとのツアー!

ダック・ベイカーを招いてのTAB主催ツアー「Duck Baker Japan Tour 2010」、無事終了しました。先ほど、ダックを空港までお見送りに行ったところです。各ライヴとも盛況で、ダックも「充実したツアーだった」と大変満足して、出発口へと入っていきました。私もダックとのツアーをとても楽しむことができました。各ライヴにご来場くださった皆さま、本当にありがとうございました!

暴飲暴食して大騒ぎしている自分自身のいつものソロ・ツアーと違って、海外からギタリストを招聘してのツアーは、いろんな意味で大変です。開催にこぎつけるまでの色んな交渉や手配もそうですが、ツアー中もいつもと同じマイペースというわけには行きません。それでもこうやってこの手の企画を続けていられるのは、色んな方々のサポートがあってのことです。いつも助けてもらって、皆さんには心から感謝してますよ〜!

ダックとのツアー写真は落ち着いたら整理して、いつものようにTABギタースクールのホームページにアップしたいと思います。どうぞお楽しみに。とりあえずここでは、新大阪駅新幹線ホームでのダック、私、天満俊秀クンの3シャット(上)と、最終日スターパインズ・カフェでの有田純弘さんが加わったトリオ演奏の写真(左)を挙げておきます。来年は、TABギタースクール設立20周年でもあります。15周年の時のように、またシリーズで何か企画しようかなとも思っています。皆さん懲りずに(笑)応援してくださいね!

でも、その前に今週末からは、岡崎倫典さんとのツアー<6/26(土)・前橋、6/27(日)・仙台、6/28(月)・いわき>です。倫典さんは、アメリカン・ルーツ・ミュージックの巨匠ダック・ベイカーとは打って変わって、メロディアス、お洒落、幻想的と三拍子揃ったモダン・アコースティック・ギター・ミュージックの大御所です。何度かご一緒させてもらっていますが、今回もとても楽しみなツアーです。日本人同士ですので、気兼ねなく暴飲暴食したいと思います(笑)。皆さんのご来場、お待ちしていますよ〜! ツアーの詳細はこちらで。

いよいよダック・ベイカー来日ツアー!

いよいよ今週からダック・ベイカーの来日ツアー(6/17〜20)が始まります。海外のギタリストを招いてのTAB主催ツアーは、1998年から取り組んでいますが、その第1回目の記念すべきギタリストがダック・ベイカーでした。今回は、6年ぶり7度目の来日です。

1970年代にステファン・グロスマンがプロデュースしていたキッキング・ミュール・レコードの看板アーティストとして歴史的な名盤をリリースしていたダックは、若き日の私を虜にしたギタリストのひとりでした。ベース・ラインをキープしながら独自のインプロヴィゼイションを取り入れる彼のフィンガースタイル・ジャズは、スウィングから、バップ、モダン・ジャズ、アフリカン・ジャズ、フリー・ジャズに至るまで膨大なレパートリーを誇り、そのサウンドは一人で弾いているとは思えないほどのグルーヴを感じさせてくれます。また、フィドル、バグパイプ、アイリッシュ・ハープの音楽をギターにアダプトするケルティック・フィンガースタイル・ギターの分野にも早くから取り組み、数多くの素晴らしいアレンジを残しています。まさに、フィンガーピッキング・ワールドの偉大なる先駆者といえましょう。

昔からのファンの方はもちろん、若い世代の方々にも、この機会に是非聴いていただきたいと思います。ツアーの詳細はこちらでどうぞ。私も全会場に同行し出演します。大阪には天満俊秀クン、最終日は有田純弘さんがゲスト出演してくれます。盛り上がること間違いなしですよ。では、会場でお会いしましょう!(左の写真は、2001年に開催のTAB10周年ライヴより)

TABサムピック物語
<最終回> 〜使用上のアイディア〜

(… <第3回>より続き)数々の苦難を経て、遂に完成した“TABスペシャル”サムピック。2004 年の4月の正式発売と同時に、ギター業界にセンセーショナルを巻き起こしました(←かなりオーバーかな?スミマセン)。TABギタースクールの商品紹介のページ(こちら)の宣伝文句も参照してもらえば幸いです。さて、『TABサムピック物語』と称したこのコラム・シリーズの最終回として、今回は使用する上でのアイディアや注意点などをご紹介しましょう(右写真は、 TABサムピックをはめている私の親指)。

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★ストロークにも適しています
このTABサムピックに監修で携わった私自身がギター・インストゥルメンタルをレパートリーにしていますので、インスト指向の方に多く愛用してもらっていると思いますが、実は弾き語りをされる方にも最適なんですよ。弾き語りでは、アルペジオ、スリー・フィンガーといったフィンガーピッキングの他に、コード・ストロークも重要な伴奏になります。歌の途中でフィンガーピッキングからストロークに切り替えて弾かなきゃならない場合も多いでしょう。
そんな場合、サムピックに人差指を添えてフラットピックのように用いる方も多いのですが、通常のサムピックでは、よほど手首を柔らかく使わないと弦をガリガリと引っ掻いちゃいます。TABサムピックなら、スリットが入ってしなりがある分、スムーズにストロークを弾けるんです。ピック部は工業用のギアで用いる樹脂で摩擦にも強いので、当たる部分の状態は常に安定しています。ちなみに私は、ストロークを加える場合、サムピックを用いず人差指〜薬指側で行っています。

★スタンブリング・ベースに最適
私にとっては、5/16の投稿でも紹介したブラインド・ブレイクのスタンブリング・ベースを弾くために、TABサムピックが欠かせないものとなっています。ウッディ・マンのようにサムピックを用いないでスタンブリング・ベースをバキバキ弾きこなすギタリストもいますし、私自身もかつてはサムピックなしでスタンブリング・ベースを弾いていた時代もあったのですが、親指への負担を減らすため、ある時期からサムピックを用いるようになりました。いろんなサムピックを使ってきた私ですが、今ではベルト部のゴムのフィット感とピック部のしなりから、TABサムピックがもっともコントロールしやすいと感じています。
十分マニアックな商品なのに、さらにマニアックすぎると思われないように、今日商品化されているTABサムピックのパッケージにはどこにも「スタンブリング・ベースに最適!」などとは書いてません(笑)。ですが、ラグタイム・ブルース・ファンの方には是非TABサムピックをオススメします。

★ベルトの引っ掛け具合について
TABサムピックを装着するとき、あまり強く締め付けてベルトを引っ掛けると、ゴムですので伸びたり、切れたりすることもあります。ゴムの摩擦でずれにくくなっていますので、適度の締め付け具合で引っ掛けて使用するのがいい思います。また、ひと度、自分にあった引っ掛けポイントを見つけたら、その状態のままにしておいて指へ着脱するのが、ゴムを長持ちさせるコツです。毎回、ベルトを引っ掛けたり外したりしていると、切れやすくなります。
ただそれでも、ベルト部は切れたり伸びたりすることはありますので、その場合は、もう1ランク、タイトにベルトを引っ掛けて使用してください。それから、ゴムの余分な部分は、切った方がピッキングの際に邪魔にならないと思いますが、これはそれぞれです。

★親指のピッキングについて
TABサムピックは、ピック部にしなりがあるので、あまり強く弾かなくても親指の音はクリアに出ます。その分、右手の人差指〜薬指のピッキングに力を持って行けるのが、TABサムピックの利点でもあると私は思います。親指側と人差指側のピッキングの力加減をコントロールすることは難しいとは思いますが、その音量のバランスはフィンガーピッキング・プレイにおいて非常に重要なポイントですので、練習時に気を配っていただければ幸いです。
なお、ピック部のスリットは、私的にはオリジナルの状態で使ってもらうのが一番いいと思っていますが、中にはしなりをもう少し強くしたい方もいらっしゃるかも知れません。そんな場合は、スリットの溝がカッターなどで2段階カットできるようになっていますので、お試しいただくことも可能です。

★左利きの方の使用について
TABサムピックは、残念ながら、左利きの方用のものを特に用意していません。ただ「ベルトを裏返してはめると、左利きで使用できる」という情報を、何人かの左利きのユーザーの方から教えてもらいました。右利きの方と同じフィット感を味わっていただくことは出来ないかも知れませんが、お試しいただければ幸いです。

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以上、色々思い付いたことを書き連ねてみました。何かまた役に立つ情報を思い付いたら、このブログでご紹介したいと思います。(左写真:新上の曽我部大氏(右)と…2004 年大楽器祭にて)

TABサムピックは、ギターのほか、ウクレレのプレイヤーに愛用してくれている方が多くいらっしゃいます。弦への当たり加減がちょうどいいとのことです。その他にも、フラット・マンドリン、バンジョーなど、色んな弦楽器で活用していただけるはずです。私自身も、今ではTABサムピックなしでのギター・ライフは考えられないほど重宝しています。

もちろんサムピックなしのプレイも私は大好きで、曲に応じてサムピックを付けたり外したりしていますが、サムピックに興味のある方は是非一度、この“TABスペシャル”サムピックをお試しになっていただければと思います。全国の楽器屋さんで入手できると思いますが、TABネットショップでもお取り扱いしていますよ。それでは涙と笑いの『TABサムピック物語』、この辺でとりあえず完結したいと思います。(…『TABサムピック物語』完)

TABサムピック物語
<第3回> 〜涙と汗のプロトタイプ〜

(…<第2回>より続き)今回は、注目のプロトタイプご紹介です。 TABサムピックの開発プロジェクトが始まってから完成品が出来上がるまでの間に、新上の曽我部さんは、実験的な数々の試作品を作りました。その中から、主だったものを一挙大公開!

★プロトタイプ1(→)
ピック部にしなりを持たせるための実験として作ったもの。弦に当たる先端部と指を入る部分を分断して、段差を付けて接着剤でくっつけてあります。確かに先端部がややしなることになるのですが、なんか弾いているうちに“ポキッ”と取れちゃいそう。。。それに、先端部がずれていると、通常のサムピックに慣れている人は、弾きにくく感じるに違いないでしょう。

(←)★プロトタイプ2
指のサイズに応じて調整できるように、初めて『ベルト』というアイディアが導入されたモデル。ただ、通常のサムピックで隙間の空いている先端部側が、閉じられて固定されているため、ピッキングした際に、まったくしならないことになります。これでは、弦に対する当たりが強くなり過ぎて、バランスのいいサウンドになりません。また、ピッキングした際の弦の圧力が、ピック全体にもろに伝わるために、指からずれてしまうことになります。ただ、隙間の空いている先端部側を閉じることで、サムピックの内側へ弦が引っ掛かることがなくなるので、このアイディアも発展させる価値ありということに。

★プロトタイプ3(→)
完成型にかなり近づいたモデル。爪側全体にベルトを渡す方式がついに導入されました。ベルトの素材を選べば、私がそれまでサムピックの裏(爪側)にゴムを張ってきたのと同様にずれにくくなるはずです。それでいて、指のサイズに応じて調整も出来ることになり、また、サムピックの内側への弦の引っ掛かりも解消され、このプロジェクトもかなり前進したなあということを実感しました。

(←)★プロトタイプ4
プロトタイプ3に改良を加えたバージョン、その1です。ピッキング時にしなりを出すために、ピック部をカッタウェイにしたモデル。親指に対する圧迫感が幾分かは少なくなったものの、今イチしなるという感覚には至りませんでした。でもここまで来ると、曽我部さんも私も開発が楽しくて仕方がないといった感じです。サムピックにとりつかれた熱いオヤジの物語も、それなりに絵になる展開になってきました。

★プロトタイプ5(→)
プロトタイプ3に改良を加えたバージョン、その2です。スリットを入れるというアイディアを導入した最初のモデル。曽我部さんが手作業で切り込みを入れたんです。さすがアイディアマンの曽我部さん! ずれない、すなわち「固定させる」という概念と、しなりがある、つまり「動く」という概念を同居させた画期的なTABサムピックの完成まで、あと一歩となりました。

(←)★プロトタイプ6
しなりが確実に感じられるまでのスリットをピック部に加え、ベルト部にもゴムを採用し、ついにほぼ完成型に辿り着いたTABサムピック。これは商品化する前の確認用のモデルで、完全透明バージョン。ピック部の素材には、滑らかさと耐久性を兼ね備えた、工業用のギアに用いるナイロン樹脂を採用することで、弦に当たる部分が常に滑らか。先端部の長さも私が指定した通りになりました。あとは、ゴムの材質を、圧迫感がなくフィット感もいい、適度の硬さと弾力のものに決め、ベルトの部分に『TAB』と『新上』のロゴ(これがまた滑り止めにもなるんです!)を入れれば完成です。そして、色のバリエーションを加えて、商品化へとレッツ・ゴー!

涙と汗の日々の中から遂に完成した、現在5色の“TABスペシャル”サムピック(→)。そんなにビッグ・ビジネスになるとは思えないサムピックですが、男達のこだわりの熱い物語があったのです。そしてなんと、TABサムピックは日米特許まで取っちゃったんですよ! 曽我部さんとは「いつの日かNHKでやっている“プロジェクトX”にいずれ出ましょうね!」と語っていたのですが、これは番組が終わってしまいましたね、残念〜。

次回は、TABサムピックを実際に使用する上で、役に立つアイディアをご紹介します。(…<最終回>へ続く)

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