十紀夫語録

打田十紀夫オフィシャル・ブログ

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Archive for the ‘ギター・テクニック関係’ Category

鬼才、ダック・ベイカー6月来日!

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いよいよ来月6月は、ダック・ベイカーの来日です! 海外の凄腕ギタリストを招聘するというTAB主催コンサート・ツアーですが、ダックはなんと記念すべき第1回目(1998年4月)のギタリストだったんですよ。そして今回が、実に7回目の来日ですから、私のダックに対する敬愛の念がどれほどのものか分かってもらえると思います。音楽評論家のピーター・バラカン氏も惚れた、ダック・ベイカー。ここで、今一度その魅力を紹介しましょう!

私がダックを知ったのは、20代の前半の若い頃(1978~79年頃)でした。当時、ステファン・グロスマンがプロデュースしていたキッキング・ミュール・レコードの看板ギタリストとして、すでに数枚アルバムをリリースしていましたが、聴くたびに「なんでそんな風に弾けるの?!」って唸っていました。カントリー・ブルースマン達のプレイと同様、ステファンをはじめとするキッキング・ミュール・アーティストをコピーしまくってギターを学んでいたその当時、ダックのフィンガーピッキング・アプローチは私の中でかなり大きな興味の対象でした。

フィンガースタイル・ジャズのオーソリティであるダックですが、彼の場合、ジャズを単に素材として扱う“ポピュラー・ギター”ではなく、インプロヴィゼーションを必ずフィーチャーしているのが特徴。それも、コード・ソロや単音弾きが主体の一般的なジャズ・ギターとは異なり、ベース・ラインも同時に弾きながらのフィンガーピッキングでのアプローチです。ダックが、スウィングの名曲「Sweet Georgia Brown」を弾いている動画を張っておきます(↓)。アドリヴは、毎回違うので、とにかくライヴでの臨場感は格別ですよ。

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ジャズと並んで、ダックの重要なレパートリーのひとつが、ケルティック・ミュージック。アイルランド、イングランドなどに伝わる伝承音楽で、今日では世界的にかなりポピュラーになったジャンル。もともとは、フィドル、アイリッシュ・ハープ、バグ・パイプなどで、決してギター・ミュージックではなかったのですが、ダックはいち早くアコースティック・ギター1本での表現に着手し、膨大なアレンジと録音を残しています。ターロウ・オキャロランの名曲「Sheebeg and Sheemore」をダックが弾く動画がこれ(↓)。ハープのサウンド効果を出すクロマチック奏法やカウンターポイント・ラインなど、大きな手をストレッチしてのプレイは、まさにダックの真骨頂です。

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これらの動画ではナイロン弦ギターを弾いていますが、ライヴではもちろんスティール弦のアコースティック・ギターも弾きますよ。是非、生でその素晴らしいプレイに接してください!(ツアーの詳細こちら

スタンブリング・ベース

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私がギターを始めたのは、19才の時でした。大学に入った春、すぐに5月病になった私は、“流し”になろう!とギターを始めたのでした(笑)。飲み屋街などでギターを抱えてお店を回り「お客さん、一曲いかがですか?!」と歌を披露するあの“流し”です。今はもう見かけなくなりましたねえ。おっと、私が演歌歌手志望だったことは封印した過去でした(笑)。ま、そんな中、なにげに買ったギターの本に載っていたステファン・グロスマンの影響で、いつのまにかフィンガーピッキング、カントリー・ブルースの世界にどっぷりになった訳です。当時(1970年代後半)はビデオもなく、LPなどは海外のレコード会社から取り寄せたりし、来る日も来る日もレコードから耳でコピーしてました。懐かしいなあ。

そんな中で私がハマったギタリストのひとりが、1920〜30年代に活躍したブルースマン、ブラインド・ブレイクでした。彼のラグタイム・ブルースのグルーヴ感たるや半端じゃなく、何度聴いても惚れ惚れします。そのサウンドの秘密のひとつが、“バドン・バドン”と小気味よく決める彼の“スタンブリン グ・ベース”。二十代前半の多感な時期に、四畳半のアパートに籠もって、来る日も来る日もブレイクのサウンドに近づけるように、練習に明け暮れたもんです(う、けっこう暗い青春かも…)

先日(5/8)島村楽器奈良店で開催されたスタジオ内「ライヴ&トーク」の開演前に、いつも応援してくれている大阪の nogunoguしんちゃんのリクエストで、そのスタンブリング・ベースをゆっくり披露した映像をYouTubeに上げました(↓)。彼はいま頑張って練習しているとのことですが、ちょっとは参考になったでしょうか。

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「スタンブリング・ベース」というネーミングは、私の師匠のステファ ン・グロスマンが付けたものです。親指が隣の弦につまずくような感じから、名付けたのでしょう(Stumble=つまずく)。ステファンの弟子である私は、そのネーミングを昔からギター雑誌や教則本で使ってきましたから、国内では結構その名前が定着したと思います。ちなみに、ウッディ・マンは「ドラッギング・ベース」(drag=引きずる)、ボブ・ブロズマンは「ダブル・ベース」と呼んでいます。なるほど、それぞれ説得力のあるネーミングですね。ブラインド・ブレイク本人は、決して名前など付けていなかったでしょうし、体から湧き出るがごとく自然と身に付けたテクニックだったに違いありません。

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