十紀夫語録

打田十紀夫オフィシャル・ブログ

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Archive for 4月 28th, 2012

SIT弦の打田十紀夫シグネチャー・セット!

今日は、私がここ数年使っている弦をご紹介しましょう。何年か前のこと、より自分にあった弦はないものかと、それこそありとあらゆる色んな弦をテストしていた時期があったのですが、そのとき「おっ、これはいいな」と印象に残ったのが、今メインで使っているSITというメーカーのアコースティック・ギター弦でした。SIT弦は、アメリカのオハイオ州アクロンの工場で生産している弦で、創設者ヴィルギル・レイ氏の開発による、チューニングに最も影響を与えるボールエンドのネジリ部分の滑りを防止する独自のツイストロック加工が施されているため、どんなハードで過酷なプレイにも耐えうる抜群のチューニングの安定度を実現しています。このこと(“Stay In Tune”=チューニングが安定している)が、メーカー名の由来にもなっているのです。

国内代理店のTMCさん経由でメーカーに無理を言って、私が理想とするゲージで組んでもらっているのが「打田十紀夫シグネチャー・セット」(.013 .016 .025 .032 .042 .054)。この組合せは、レギュラー・チューニングはもとより、色んなタイプのオープン・チューニングを用いるときに対応できるもので、私が色んな試行錯誤の中から辿り着いたセットです。フィンガースタイル・ギターにおいて、1弦はメロディとして用いる頻度が高いため、よりしっかりした音を出すために「.013」を採用し、2弦はメロディで多用されるものの、チョーキングの頻度も多いことやオープンCやGモーダルで半音上げることもあるためノーマルなライトの「.016」、3弦はオープンDmでF音まで下げることもあるのでちょい太の「.025」、6弦はD音に下げることも多いため「.054」となっています。もっと極端に変則的なチューニングを使う方はそれなりのゲージを用いる必要があるかも知れませんが、レギュラーを主体に使いながらも変則チューニングを取り入れる私のレパートリーや一般的なアレンジを弾くには、この微妙な組合せが最適だという結論に達しました。もっともSIT弦は、通常のライト・ゲージでも、1弦以外はその条件を満たしていますが。

そんなシグネチャー・セットを、素材的に「Royal Bronze」「Golden Bronze」の2種類で組んでもらっています。「Royal Bronze」はフォスファー・ブロンズの巻線を電気的に芯線にタイトにムラなく巻き付けた弦で(フュージョン・ワウンド工法)、これにより、濁ったサウンドの原因となる巻弦の“ルーズ・スポット”がなくなるとのこと。落ち着きのあるナチュラルで心地良いサウンドが魅力的です。張り替えてすぐ使える感じで、ツアー中ほぼ毎日弦を交換する私には、とても使い勝手がいいです。

片や「Golden Bronze」の方は、銅80%亜鉛20%の合金を巻線に用いた弦で、歯切れのよいブライトなサウンドが特徴です。この弦を張ったことで、それまであまり印象の良くなかったギターの評価が急上昇したこともある不思議な弦です。このまったく特性の異なる2種類(Royal Bronze、Golden Bronze)を、ギターに応じて使い分けることで、各ギターのサウンドのキャラを最大限に引き出せると感じています。

ところでこのSIT弦、エレキの世界ではかなり有名な弦で、メーカーのサイト(ここ)に行ってもらうと分かるように、ハードロック系のギタリストやベーシストに愛用者が多いようです。ピアスしてたり、タトゥーしてたり、髪の毛を振り乱していたり…そんな方がいっぱい (・_・;)。日本ではバウワウの山本恭司さんも愛用者の一人。激しいアーミングを用いるような世界では、チューニングの安定性が重要になってくるのでしょう。アコースティック・ギターの世界ではまだ認知度が低いようで、ブルーグラスの“イケメン”フラットピッカー、ブラッド・デイヴィスやハードロック・バンドのステインドのボーカル、アーロン・ルイスこの方のタトゥーもかなりご立派…)くらいでしょうか。フィンガースタイル・ギターでは、今のところひょっとしたら私だけかも知れません。是非一度試してみてください。TABネットショップは便利ですよ(笑)。大阪ではドルフィン・ギターさんや三木楽器さんでも扱ってくださってるようです。

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